そんなムードのままジェットコースターに乗ると、降りた頃にはジェットコースターの話でいっぱいでさっきのムードは感じさせられなかった。
もしかしたらどちらも意図的にか無意識にかは分からないけど、恥ずかしさを感じる暇もない様に頑張っていたのかもしれない。
その後、お化け屋敷に入ったり、もう一度ジェットコースターに乗ったり、他の様々なアトラクションに乗って疲れてきた頃。
「ちょっとお手洗いに行ってきてもいい?」
僕は頷いて、トイレに向かって歩く生嶋さんをベンチに座って見送った。
冷たい風が僕の頬に刃を立て、吐く息は白い。
それでも、遊園地という特別な場所に来た人達が寒さに負けず騒ぐ姿が見られる。
ベンチに座って気付いたけど、……ちょっと疲れたな。
遊園地自体が久しぶりだったけど、ドキドキのしすぎで疲れが二倍。
……でも。
ぼくは鞄からスマホを取り出し、連絡帳を見ると緩む頬を止められない。
そこにはついさっき追加された、『生嶋幾羽』の文字が並んでいた。
それにリア充って間違われたし、今日のぼくは運がつきすぎてるよ。
もし明日お金を無くしても、暴力をふるわれたとしても今日のことを思い出せば頑張れる気がする。


