「なんかねー……。
看板で味とか全然見てなかったし、メニューもどこにあるか分からなかったから……シナモンを言ったんだよね」
その時の光景を思い出して、二人でぷっと笑う。
「でも、世尾くんも恥ずかしかったでしょ」
「……う」
くすりと笑う彼女に対し、ぼくは恥ずかしすぎて記憶から抹消したい話だ。
あまり触れられたくない。――――特に生嶋さんには。
「もう忘れていいからね、そのこと……」
ぼくがそう言っても、彼女は微笑みながら頭(カブリ)を振る。
「多分一生忘れないよ……。ちょっと、嬉しかったし。
それに―――――「前も後ろもリア充ばっかりだな……!
おのれリア充。リア充爆発しろ」」
ぼくたちの前に並んでいた女子高校生四人のうちの一人が、周りを苛立たしげに睨みながら大声で生嶋さんの言葉を遮った。
その目は、ちゃんとぼくたちのことも捉えている。
天然パーマの女子が、紫にも、黒のようにも見える髪の大声を出した張本人の口を塞ぐ。
「ちょ、ちょっと真(マコト)、聞こえちゃうでしょ!?」
心配そうにあたりを見渡す天パの女子。
彼女に対し、黒紫のショートカットの女子はうも〜んと負のオーラを漂わせる。


