「ありがとう。……三五〇円だよね? 今払うよ」
「ううん、いいよ。……こんなことしかぼく、できないし」
「…………そんなこと、全然ないのに」
生嶋さんが呟いた言葉を聞いてしまったけど、どう返せばいいのかわからない。
やっと出た言葉が、「……え」だった。
彼女はまた、顔を火照させて慌てているのか胸の前で手を振る。
「あっ、いや、そのー……なんでもない! でも、お金払ってもらっちゃうのは悪いよ!」
無理矢理話が変えられてしまった。まぁ、さっきの話の続きだから、全く関係ない話ではないんだけど。
「ほんとにいいって。気にしないで」
そう言うと、渋々頷いてチョロスをかじった。
瞬間、彼女の顔に驚きの色が広がる。
「おいしい……!」
そんなことを聞いてしまうとこちらまで食べたくなってしまう。
つられてぼくもチョロスの先端を口に入れると、懐かしい、あの甘い味とカリッとした食感が口の中をいっぱいにする。
加えて、珍しい苺の味だ。
「ほんとだ、おいしいね」
「ね! 苺味っていうのがまたもう……。……最後にこんな美味しいの食べれてよかった」


