チョコミントが溶ける頃に

 ぼくたちのやり取りを見ていた女性スタッフはすくっと笑った。




「かしこまりました。七〇〇円です」




 な、ななひゃく……!? チョロス二本で七〇〇!? 高い!



 だけどもう注文してしまった後だし、せっかく遊園地に来たのだからいいかな、と思ってしまった。




 生嶋さんが代金を支払うために、財布から手を出すよりも早く。



 レジ横にある黒皮のトレーに、薄い金色と銀色の小銭を手から落とした。


           
                           ・・
 黒いトレーに転がったのは金色のコインと、銀色のコイン一枚。




「あのー、すいません……あと一〇〇円足りません」



 
 ええっ!! 確かに七〇〇円取ったはずだったのに……!



 急ぎすぎて財布の中で落としちゃったのかな……。



 かっこつけてすいません。ものすごく恥ずかしいよ……。




 ぼくがさっと一〇〇円玉を一枚出すとスタッフが小銭三枚を取り、レジスターを操る。




「七〇〇円丁度、お預かりいたします―――――」





 レシートを渡された後、すぐに二本の薄いピンク色のかかった長いチョロスが手渡される。



 砂糖がたっぷりかかっていて、まだ温かい。




 早足でワゴンから遠ざかり、はい、と一本のチョロスを生嶋さんに渡すと、ありがとうとお礼が返ってくる。




 彼女が鞄に財布をしまうと、ぼくと生嶋さんは一緒に歩き出した。



 再び、ジェットコースターに向かって。