「じゃあ、最後にクラス対抗リレーの選手決めをしたいと思います。立候補したい人はいますか?」
シーンと教室が静かになる。
体育祭でリレーといえばメインの種目といっても過言じゃない。これもある程度、人気がある人じゃないと盛り上がらないし立候補する人なんて……。
「はい!」
と、その時。勢いよくひとりの男子が手を挙げた。
俺の目はおかしくなったんだろうか。
なんか……杉野が手を挙げてる気がするんだけど……。
「す、杉野くん、立候補ですか?」
実行委員の人もびっくりした顔をしてるし、教室がざわざわとしてるのが分かる。
おいおい、杉野マジか。
杉野はそういうタイプじゃないっていうか、そんな立候補するキャラでもないのにどうしたんだよ。
友達として俺も戸惑っていると……。
「いや、俺が立候補じゃなくて。推薦したい人がいるんですけどいいっすか?」
「はい、どうぞ」
「俺は池内を推薦します」
ガタッと肘を付いていた俺は崩れ落ちた。
今度は俺の耳がおかしくなったのか?再び教室がざわついてクラスメイトたちの視線が俺に集中する。
「池内くん。杉野くんから推薦されましたがどうしますか?」
「……え、え?」
頭の整理がつかなくて声が出ない。
「他に立候補も推薦もいないのでやってくれるとありがたいです。他の選手たちは体育の成績を元にあとで声をかけたいと思います」
まだなんにも答えてないのに、実行委員は話を締め括ろうとしている。
俺が「あのっ」と声を出すタイミングで校内にチャイムが鳴り響いてクラス会議が終わってしまった。



