莉緒の体調はあれから特に変わったことはなくて、今も元気に俺と同じ数のケーキを完食した。
べつに変わったところもないし、異常もない。
でもやっぱりこいつが貧血で倒れたってことがいまだに信じられない。
あの日の体育館は蒸していたし、体調を崩してもおかしくなかったけど俺が知っている莉緒は風邪ひとつ引いたことがないヤツで。
夏バテもしないし、インフルエンザにもかからない。
元気以外の莉緒なんて見たことがないのに、貧血という無縁のもので倒れた事実に俺はまだ胸をモヤモヤとさせていた。
「なにじっと見てんだよ」
「……べつに」
でも口は減らないし、傲慢な態度も変わらない。
他の女子のように弱音ぐらい吐けばいいのに、
それすらもない。
きっと莉緒は人から心配されることが苦手なんだと思う。俺のことは過度に心配してくるくせに。
結局莉緒は話を反らすように母ちゃんと楽しそうに雑談をはじめて、具合が悪かった話は3秒足らずで流れた。
まあ、こいつも一応女の子だし体調が優(すぐ)れない時もあるんだろうと隣で飲み物を飲みながら無理やり自分を納得させた。



