「しかもあの先輩、懲りずに立花さんのこと見にきてるし」
「………」
3組のコートの周りにはやたらと人がいて、純粋に応援してる人もいれば先輩のようにニヤニヤしてる人もいる。
体操着でジャンプするたびにあらゆるところが揺れたりするし、そういうのが見たくて集まってくる奴らの神経が俺には分からない。
そこまで飢えてんのかって話だけど、そんな対象にされてしまう女子が可哀想だし、しかも莉緒はその中でも特に標的にされてる気がする。
だからなのかあいつは眉間にシワを寄せてずっと不機嫌だ。
俺が原因なのか、周りの奴らにイラついてるのかそれは分からない。
だけどいつもはなにをするにしても清々しい顔をしてるのに今の莉緒には余裕がない。
3組は余裕で勝ってるし、そんなに追い詰められてる感じじゃないのになんで……。
「ねえねえ」
と、その時。突然見知らぬ女子に話しかけられた。
「池内くんって立花さんの幼なじみなんでしょ?」
そういえばこの女子たちもたまに莉緒の周りをうろちょろしてるっけ。おそらく憧れてるんだろうけど、莉緒の持ち物とかを細かくチェックしたりして俺から見たらちょっと怖い。
「……そうだけど」
雑音にかき消されそうな声で答えた。
「幼なじみっていつから?保育園?小学校?」
親しくもないのにいきなり質問してくる人って苦手だ。そしてこういう人たちは決まって同じことを口にする。
「池内くんが立花さんと幼なじみってなんて意外だよね」



