「玲汰は勉強でも食べ物でもそう。克服できるくせにチャレンジしようとしない。玲汰はやればできるんだからさ」
莉緒が洗い物をしながら言った。
俺はご褒美でアイスを食べていいと言われて、
今は口の中がバニラ味。
そもそも俺が自分のために買ってきたアイスだからご褒美でもなんでもないけど。
「なんで急にこんなことしたんだよ」
料理なんて普段は面倒くさがって作らないし、野菜だって『お前は本当にガキだな』と代わりに食べてくれていた。
今までこうして克服させようなんてしなかったのに。
「だっていつまでも代わりに食べてあげられないだろ」
「え……?」
水道の音でよく聞き取れなかった。
莉緒はキュッと蛇口をひねって水を止めた。そしてエプロンで手を拭いて俺を見る。
「これから先、野菜ぐらい食べられなかったら玲汰が困るだろってこと」
「これから先って……」
「将来って意味だ、バカ」
ものすごくバカを強調されて言われた。
そのあとすぐに母ちゃんが仕事から帰ってきて、莉緒は颯爽と家に帰ってしまった。



