教室を出て教材室までの廊下。
窓の外は部活をする人たちの声で騒がしいのに校内は本当に静かで、やけに自分たちの足音が響いて聞こえた。
隣では前澤さんが歴史の資料を抱えていて、なにか喋らなきゃと思えば思うほどなにも浮かんでこない。
「池内くんってさあ……」
「え、え、はい?」
恥ずかしいくらい過剰に反応してしまった。
「部活とかやってないの?」
そうか。そういう質問から話を広げていけば良かったんだ。今さら気づいても遅いんだけど。
「ぶ、部活はやってない」
「そっかあ。委員会は?」
「委員会もなにも……」
自分で答えてて本当に俺はつまらないヤツだと自覚した。取り柄があるわけじゃないし、やりたいことがあるわけじゃないし……。
「そうなんだ!実は私も」
だんだんと気分が沈んでいた中で、何故か前澤さんの明るい声が返ってきた。
「中学校の時は部活漬けの毎日だったから高校ではやらないって決めてたし、委員会とかもいつも他人任せだから委員会決めの時はなるべく目立たないように影薄くしてた」
「マジで?俺も!」
「はは、委員会面倒だもんねー」
なんか分からないけど、すごい良い感じな気がする。



