玲汰、知ってる?


そして憂鬱のまま放課後を迎えてしまった。用を作るために杉野を遊びに誘ってみたけど、どうやら彼女とデートらしい。

なんだか余計に悲しくなった。


「ねえ、池内くん」

杉野の他にも友達を作らなきゃダメだな……なんて思っていると突然だれかに肩を叩かれた。

それは隣の席の前澤さん。

もちろん話したことはない。たまに落ちた消しゴムを拾ってくれるだけ。


「なな、なに?」

杉野や莉緒の前では大丈夫なのに、やっぱり話しかけられることに免疫がついてなくて声が上擦(うわず)りそうになってしまった。


「今日、日直だったって知ってた?」

「……へ?」

黒板をよく見ると日付の下に俺と前澤さんの名前が。


……ヤバい。全然知らなかったし気づかなかった!


「わ、悪い。俺……」

「ううん。黒板消すぐらいだから別にいいんだけど、これ教材室に戻すの手伝ってくれる?」

前澤さんが〝これ〟と指をさしたのはさっきの授業で使ったバカでかい世界地図。

もちろん断る理由はない。というか1日日直だったことに気づかなくて申し訳ないぐらいだ。