彼女の名前は立花莉緒(たちばなりお)

親同士が中学校からの親友で、俺たちは俗に言う幼なじみというやつだ。保育園のウサギ組から始まって、小学校も中学校も高校までもが一緒。


「お、エロ本みっけ」

「バッ……や、やめろ!」

莉緒は保育園の頃からなにひとつ変わっていない。


口が悪くて性格も男っぽくて、挙げ句の果てにはこうしてベッドの下に隠してあるエロ本を見つけてわざとリビングのテーブルの上に置いて帰ったりする悪魔みたいなヤツ。

16年間俺はこいつに振り回されっぱなしで……。
縁を切りたくても母ちゃん同士が仲良すぎてそれも不可能。

俺はずっとこの幼なじみという名の腐れ縁に苦悩し続けている。


「へえ、玲汰ってこういう巨乳が好きなんだ」

玲汰(れいた)とは俺の名前。


莉緒はあぐらをかきながらパラパラと本をめくって、袋とじになっている箇所を覗きこんでいる。


「開けていい?」

「それ杉野のだから」

遠回しにその本は俺のじゃないとアピールした。


「ああ、絶交した杉野くんか」

「絶交してねーし」

「でも一緒じゃん。喧嘩したぐらいで3日も休まれたら逆に杉野くんが気まずいっていうか……かわいそー」

「………」

「あ、袋とじ開いた」

真面目な話しをしてたかと思えばすぐにこれ。

袋とじの中身をなに食わぬ顔で凝視して「へえ」と女性の裸体を観察。本当になにを考えてるか分からない。