なんでそんな嘘を言ったのかは分からないけど、喧嘩して気まずくて学校を休んでたことは誰にもバレてないようだ。


「食中毒って怖いよな。俺も前に一回だけなったことあるけどヤバすぎて救急車で運ばれた」

しかも何故か杉野は普通だ。

怒ってないし、あの喧嘩は嘘みたいだけど……。


「す、杉野!この前はマジでごめん!わ、悪気はなかったんだ。スマホもその……まさか壊れるなんて思ってなくて……」

それでも謝らなきゃ気が済まなくて、全身全霊で頭を下げた。


「あーいいよ。俺もゲームに熱くなりすぎてたし、スマホも丁度買い換えようと思ってたから」

杉野はそう言って俺に新しいスマホを見せてくれた。最近出たばかりの新機種で不謹慎だけど、すげー羨ましい。


「あ、あとこれも……」

俺はそっとカバンからある物をチラ見せした。

「悪い。袋とじ破いた」

正確には俺じゃないけど。


「マジか。別にいいけど、どうだった?」

「……普通」

莉緒が破いたあと、こっそりと俺も中身を見たことは秘密だ。


勝手に破いた袋とじも全然怒られなくてホッとした。

3日間休んでたのかなんだったんだって話だけど、多分杉野がいいヤツだから許された気がする。

俺の友達選びは間違ってなかったらしい。