分かっていると思ってた。
知ってると思ってた。

きっと俺たちは同じ気持ちだった。


だけど、それじゃダメなんだ。

伝えないと、想いを吐き出さないと……
俺たちの距離はゼロにはならない。


莉緒の体は俺の腕ですっぽりと埋まるほど小さかった。折れないように、包むように、その力を強くする。


「お前に心配されなくても俺はもう平気だよ。
お前に守られなくても俺はちゃんとやっていける。だから……俺がお前を守るよ。支えるよ」

「………」

「なにが病気だよ、なにが余命3か月だよ。ずっとずっと一緒にいればいいよ。ずっと一緒にいようよ」


ぎゅっとすると、それに応えるように莉緒が俺の背中に手を回す。

口の中が涙の味がする。


「……玲汰っ……」

電話越しじゃない莉緒の泣き声。

ずっと見たかった。俺はその弱さに触れたかった。そんな強さが、今はある。


そっと体を離して莉緒の顔を見た。真っ赤な目をして、まるで海のように涙が瞳から溢れている。

その涙に押されるように、莉緒が想いを口にした。


「……私がいなくても大丈夫なように、玲汰が平気なようにこの3か月自分ができることを探した」

「………」

「でも本当は私が寂しい。
玲汰がいないと、私がダメなんだ」


莉緒の本当の気持ち。

強くなんかない。

本当は脆くて、とても強がりな、ただの女の子。