留守電はそこで終わってた。
あいつの、莉緒の本当の気持ち。
だれにも言えなかった弱さ。
涙で詰まる声が俺の胸を締め付ける。
莉緒が病院を抜け出してまで行きたかった場所。
あいつが悩んだり落ち込んだりすると必ず見たくなる景色。
「……っ!」
俺はその場所へと走った。
ずっと知りたかった。
口が悪くて傲慢で、可愛くない俺の大切な幼なじみのことを。
お前は本当になにを考えてるか分からないヤツだよ。
わかんねーんだよ。全然。
距離は近いはずなのに、何故か遠い。
いくつもの言葉を交わして、いくつもの時間を一緒に過ごしてきたはずなのに、お互いに肝心なことは言えてない。
伝えてない。まだ、なにも。
走って、走って、走って。
ふたりで何度も通った道。
犬が怖くて手を繋いで通った時も、
好きなアイスを食べながら鼻唄を歌った時も、
風になびく莉緒の後ろ姿を見て、
もどかしさを感じた時も。
近いけれど、遠い。
きっと幼なじみじゃなかったら、なんの共通点もなくて関わることもなくて。そのぐらい俺たちはなにもかもが違った。
だけど、だけど。
この道を何度も通った中で、
同じ気持ちだったことは、いくつあったのだろう。
気づかなかっただけで、
気づいていないふりをしてただけで、
本当は俺たち……。



