玲汰、知ってる?



そして次の日。部屋の窓からは暑すぎるぐらいの太陽が射し込んでいて、今日も気温は30℃を越えるだろう。

夜中に何度も目が覚めたせいか朝という感覚がない。


そんな中でいつものように枕元ではスマホが鳴っていた。習慣のように自然と手を伸ばして電話に出る。

いつも聞こえる〝おい、起きろ〟という乱暴な第一声が聞こえてこない。電話越しから聞こえた声は少し息がかかったような弱いもの。


『玲汰、今日はひとりで学校に行って』

いくら乱暴なことを言われようと俺の寝起きの悪さは変わらないのに今回だけはハッとすぐに頭が目覚めた。


『な、なんで?』

そんなことを言われたのは今までで初めてだった。

『具合でも悪いの?』

それしか考えられない。声に元気がないし、また不安が胸を支配する。

顔なんて見えないくせに俺の気持ちを悟ったように莉緒が声を思いきり張った。


『寝坊したんだよ。だからあとから行く。じゃあね』

返事をする暇もなく電話は一方的に切られてしまった。