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それから数日が経って、夏休みまで残りわずか。
クラスメイトたちはすでに夏休みの計画を立てていて完全に浮かれている。学校が休みなのは嬉しいけど、その前に大量の課題をなんとかしてほしい。
これじゃ頑張っても夏休みの半分を費やさないと終わらない。
「よう」
今日も莉緒はいつもどおり。
中庭ですれ違えばこうして男のように声をかけてくるし、校内で会えば俺にちょっかいをかけてくる。
窓越しで目が会えば舌を出して〝バーカ〟と口パクなんかして。
「立花さーん!教室移動一緒にいこ」
「あ、立花さんがいる。超可愛いなあ」
女子は莉緒に引っ付いて男子は高嶺の花のような眼差しで振り返る。
学校でもどこにいても、あいつは絶対に誰かの中心にいてその眩しさを失わない。
それなのにやっぱりふと空を見上げて、儚げな表情をするから目が離せない。
莉緒の周りを取り巻く人たちを冷めた感情で見ていたはずなのに、いつの間にか俺の中心もいつだってあいつなんだ。



