耳に絶叫している声が聞こえる。

目の前にはジェットコースターの説明が表記されている看板。【最高速度63キロ。高速2回転ひねりを是非体感してください】

……2回転ひねり?どんな必殺技だよ。


「あー俺、120センチないから身長制限でムリだわ」

そう言って自然と列から離れようとしたけど「なに言ってんだよ」と莉緒にあっさりと引き戻される。


「男なのに絶叫マシンぐらいでビビってどうするんだよ。ここで逃げたら一生乗れないぞ」

「……いいよ、べつに。一生乗れなくても」

子どものように拗(す)ねる俺。


「はあ。まったく。私が乗りたいんだよ」

まるで〝俺と〟と言っているような口調。

「だから今日ぐらい頑張って付き合え」

そう言われたら、もう意地でも付き合うしかないと思った。