「う……」

目的地の駅に着いて、莉緒が軽快な足取りで向かったのはトロピカルパークという遊園地。

早速、入場券を買って莉緒は「早く」と手招きをしてるけど、俺の足はなかなかゲートをくぐれない。

……遊園地……マジか。

すげえ嫌な予感しかしないんだけど。


「ほら、行くぞ!」

無理やり莉緒に手を引っ張られて俺はやっと中に入った。


園内にはすでに家族連れやカップルがたくさんいて、楽しそうな声があちこちで響いていた。


「どれから乗ろうかなー」

莉緒は幼い子どもに戻ったみたいにパンフレットを眺めながら胸を踊らせている。

遊園地自体が苦手なわけじゃない。ただ、こいつと遊園地ってことに多少トラウマが……。


「よし、あれから乗ろう!」

指さしているのは俺が最も避けたい乗り物。


「いや、待て。もっとゆっくりと楽しめそうなものが……」

「なに言ってんだよ?行くよ」

「………」

向かったのはいきなりのジェットコースター。
もう見た目からしてヤバい。

遊園地のメインとも言えるジェットコースターには列ができていて、こんなに顔い顔をしてるのは俺ぐらいだ。