正直、莉緒は俺よりも強いし口調も荒いから自分と同じ同性のような気分でいた。
それなのに、赤い鼻緒の下駄を履いてキラキラと光るビー玉のようなかんざしをして。可愛らしい蝶むすびの帯をしてきた時は、幼いながらにドキドキとした記憶がある。
なんだかうまく喋れなくて、あいつの後ろ姿ばっかりぼんやりと見ていて。
『おい、射的勝負して私が勝ったら明日から給食のデザート全部よこせ』
なんて、見た目に不似合いな言葉使いを聞いて、ああ、やっぱり莉緒は莉緒だなとそれからは普通に話すことができたんだっけ。
次の年もまたその次も七夕祭りに行くと、こいつは同じ浴衣を着てきた。
だけど年齢と共に行かなくなって親と行くのは嫌だし、ふたりきりだと周りの目があったから。
「……学校帰りじゃなかったら、浴衣が見れたのにな」
声に出すつもりはなかったのに、どうやら声に出てたらしい。
「あ、いや、その……」
これじゃ、まるで浴衣姿が見たいと言ってるみたいじゃないか。
莉緒は少しだけ微笑んで、再び歩きはじめた。



