玲汰、知ってる?



「なんでここに……?」

姉ちゃんの手には大きなキャリーケース。

「ああ、ちょっと里帰り。最近全然帰れてなかったし、夏の間だけ長くこっちにいようと思って」

ニコリと笑う顔はさすがは姉妹で莉緒と瓜二つだ。


4年大学に進学したからまだ学生だけど、やっぱり歳が4つも違うと自分がかなりガキに見える。

昔から大人っぽかったから、よく保護者の代わりになってくれてたけど、もう立派なひとりの女性って感じの雰囲気だ。

姉ちゃんは何故か俺を下から上までなぞるように見つめた。


「……な、なに?」

まさか田舎ものだって思われた?

スーパーに行くだけだから適当な洋服だし髪の毛はボサボサだし。姉ちゃんの前で着飾る必要はないけど久しぶりの再会だからなんか……。


「玲、いい男になったね!ちょっとびっくりしたよ」

思いがけずに褒められてしまった。


「高校でモテるでしょ?」

俺の軟弱な性格を知ってるのは莉緒だけだし、
見た目だけでもモテそうな人に見えててホッとした。


「モテ……」る、と嘘ぐらい付こうとしたけど、
それを姉ちゃん経由で莉緒にバレるのは目に見えてる。

やめておこう。それはめちゃくちゃ恥ずかしいパターンだ。


「いや、それが全然……」

「あー、まだおねしょ直ってないの?」

「なんでそうなるんだよ」

「はは」

本当に姉妹揃って、俺をからかうのが好きだよな。