玲汰、知ってる?


気づけば俺の順位は2番目になっていて、前の人との距離は約20メートル。

半周の100メートルは過ぎた。残りはわずか。

苦手なカーブ。昔はいつもこういう場面で躓(つまず)いて転んでた。でも今は同じスピードで切り抜けていける。

パノラマのように流れる景色の中で、莉緒の顔が見えた気がした。


「――玲汰っ!」

何故か、あいつの声だけが鮮明に届く。


敵同士なのにバカじゃねーの。
お前はそういうヤツだよ。

応援しないと可愛げなく言うくせに、誰よりも
一番に俺のことを応援する。

だからそれに、応えたい。


ゴールテープが見えてきた。最後は直線。まるで運動公園で練習したコースと似てる。

隣に莉緒の気配を感じて、そんなはずないのにあいつと並んで走ってるみたいな感覚がした。

そのまま前の人に追いついて、その差は同じ。


ほぼ同時にテープを切って、俺は結果を待つ。

先生たちが何人かで話し合って、案内係の人に順位の札を渡された。そこに書いてあった数字は……。


〝1位〟

その瞬間、一緒に走った仲間たちが俺に駆け寄ってきて、杉野なんて自分のキャラも忘れて泣いている。

まだ息が整わない中で俺が探してしまうのは、
やっぱりあいつの姿。

3組の応援席の一番前に立っていた莉緒と目が合って。

あいつは両手を挙げてぴょんぴょんと嬉しそうに笑ってた。


本当に、バカじゃねーの。

それを見て、俺もなんだか笑っていた。