ドキドキする中、カバンから誕生日プレゼントの包みを出して陽平の胸に突きつけた。
これがあたしの気持ちだ、バーカ。
「じゃあね!陽平のバーカ!」
そう言って陽平の前から走り去った。
止まることなく、階段を全速力で駆け上がる。
あー、可愛くない。
可愛くなさすぎる。
一世一代の告白を、こんな形で締めくくるなんて。
なんでこんな可愛くない言い方しか出来ないかな、あたし。
深田さんみたいに可愛くなれたら良かったのに。
好きだよって、ニコニコしながら可愛く言いたかった。
ホント、あんなんじゃ届くものも届かないよ。
誕生日プレゼントだって、もっとちゃんと渡したかった。
バーカ、だなんて……。
普通あんな状況で言わないよね……。
「何やってんだ、あたし……」
屋上のドアの前まで一気に走って来たあたしは、壁に背中を預けてズルズルと座り込んだ。



