「三浦に愛梨ちゃんは渡さない」 あたしの手を掴むノリの指が、皮膚に食い込んでかなり痛い。 ノリは有無を言わさずに、またあたしの腕を引っ張って歩き出した。 「い、痛いよ……ノリ」 小走りになりながら、恐る恐る声をかける。 なんで、急にこんなこと……。 「あ……ごめん」 ノリは申し訳なさそうにあたしの腕をパッと離した。 「ううん……」 チラッと後ろを振り返ると、切なげに瞳を揺らす陽平がいて。 どうしてそんな顔をしているのかはわからないけど、ものすごく胸が締め付けられた。