「俺、陽平にだけは嫌われたくねーしさー!そろそろ真面目に教科書持ってくっかなー」



わけがわからない。



なんでそんな風に思考回路が働くの?


陽平が妬く?



「いや、ありえないでしょ!陽平は深田さんと付き合ってるし」



あたしにヤキモチなんて妬くはずがない。



そんなことは、ありえないんだ。



「はぁ!?誰と誰が付き合ってるって?」



坂上君は授業中にも関わらず、大きな声を張り上げた。



心底驚いたように目を見開いて、信じられないとでも言いたそう。



「こら、坂上!授業中に大きな声を出すんじゃない!」



「え、あー!すんません。一大事なもんで」



「お前の頭の中は常に一大事だろうが。少しはマジメになれ」



先生の言葉にドッと笑いが起こる。


だけど、坂上君は気にしていない様子であたしを見ている。