眠れる森の彼女

声のトーンが下がった。


今までのはジャブ程度で此処からが本番なのかと。


自然と気を引き締めていた。


「好きです」

「潔いな。文句が言えないじゃないか」


宗志さんは煙草の煙を吐き出し、軽く眉を顰めた。


「文化祭の日。迎えに行った吏那は泣いていた」

「……」


俺が吏那を泣かせたのか。


無理もない。


勝手に暴走したのは俺だ。


「好きな人に好きだと言われて、怖いくらい嬉しいと」


自分の聴覚を疑った。


吏那の好きな人は……俺なのか?


「まさか知らなかったわけじゃねぇよな」


宗志さんの声色は呆れていた。


驚愕が露呈していたのかもしれない。


「『私のせいで停学になったのに、椎名先輩に好きだと言われて喜んでいる自分が嫌だ』と車の中で泣き続けてた」