眠れる森の彼女

吏那は下向きのまま、俺からノートを両手で受け取り、胸の前で抱いた。


名前言うだけで真っ赤になられると、こっちも照れんだけど。


「へぇ。コウヅキって読むのか」


こく、吏那が小さく頷く。


さっきから全く俺の顔、見ねぇな。


「落としたのか?」


ノートを指差し、尋ねる。


吏那は華奢な肩をびくりと震わせ、やや間があってから首肯した。


嘘だな。


直感でそう確信した。


ノートを取りに来た時の吏那の潤んだ大きな瞳。


1ー1ってことは吏那は特進クラスだ。


頭の出来が良かろうと、くだらねぇ嫌がらせをするヤツがいるのは何処も変わらねぇのか。