眠れる森の彼女

「ねぇ、椎名。吏那って誰?」


面白がる各務を尻目に、ナミが真顔で俺に問い掛けた。


ナミが吏那を知らねぇってことはミスコンにエントリーされてねぇってことだと安堵する。


「誰でもねぇよ」


突っ慳貪(けんどん)な俺の声に被せるようにチャイムが鳴る。


別のクラスのナミは後ろ髪を引かれるような態度で俺たちの教室を走って出て行った。


程無く頭部に髪の過疎地が目立つ教師が訪れ、4限の物理が開始される。


午前最後の授業で空腹状態。


おまけに朝晩は幾らか涼しくなろうと日中の蒸し暑さは健在で不快なことこの上ねぇ。