それからは貴族の男の家で暮らすことになった。

どうして未来が見られるのかを聞かれ、分からないと答えれば次の質問をされる。

シャルンは怯えてずっと泣いていた。

怖い。怖い。

そして、いつしか質問されることもなくなった。

その代わり見えた未来で全て報告するよう言われた。

その結果、自分の未来を見ることは出来ないのだということが分かった。

そして、いつしかここでの暮らしに慣れた。

未来を見る度に男に言わなくてはいけないのは、正直面倒くさかったが、暮らしは楽になった。

毎日三食食べれるし、おやつだってある。

何かの手伝いもしなくていい。

好きなことが何でも出来、学校にも通わせてもらえた。

しかし、

「お家に帰りたい……」

と呟くことが、たまにあった。