体育館いっぱいにバスケットボールの音とキュッキュッと響く足音。


「ここで何してるのかなー?」


背後から男の人の声がする。


恐る恐る後ろを振り返ると、


「たっ拓也先輩!」


そこにいたのは、いつも私が目で追いかけている先輩だった。


「俺のこと知ってるの?嬉しいな」


「あ、あっえっと…すみません!すぐどこか行きます!」


きっと、こっそりここで見ているから注意されるんだと思いそう言った。


「ん?あれ俺らのこと見てたんだったらもっと近くで見なよと思ったんだけど…自意識過剰だったかな…」


「えっ!良いんですか?」


見たい。もっと近くで先輩のかっこいい姿が見たい。


身を乗り出してそう言うと、笑顔でもちろんと言ってくれた。