それから、しばらく那瑠の家でお世話になった。
おばさんもおじさんも、みんな私を本当の家族みたいに接してくれた。
何ヵ月かに一回、学校の集金のためだけに帰ったり。
そんな生活が、何年も続いた。
中学に上がるときでさえ、制服代をもらうだけ。
父は、本当に私との関わりを絶った。
「碧海、帰ろう。」
そういってくれるのをどこかで待っていた自分に腹が立った。
中1の冬。
家に戻ると、知らない靴があった。
「...碧海!?」
「...お兄ちゃん。」
なぜか、私の家にお兄ちゃんがいた。
「...碧海、帰ってきたか。」
「なんで...」
"お兄ちゃんがいるの"
そう言おうとした言葉は、お兄ちゃんにかき消された。
「...会いたかった。」
「...お兄ちゃんっ」
お兄ちゃんに抱き締められるのは、何年ぶりだろう。
兄がいる疑問より、私は一時の幸せに浸っていた。

