遠ざかっていく背中を見つめながら 俺は彼女の名前を呼んだ。 初めて彼女の名前を呼んだんだ。 そうでもしねぇーと、 あの子は止まってくれねぇーだろ? 不意に雫は立ち止まり、そして振り向いた。 「……なんで名前…」 "なんで名前知ってんの?"とでも言いたげに 俺のことを不審な目で見つめてきた。