「なんだてめぇ。」

人の気配ではっと顔をあげると、さっきの人が背中を向けて立っていた。

「かかれぇーーー!!」

目を強く閉じた。

でも、うめき声が聞こえたのは、男たちの方だった。   

袋に入った何かでやったらしい。棒だろうか。でも、ただまっすぐではなかった。
なにか、途中に横にも棒があった。

すると、前にたっていた人がこちらを向いた。

自分を売るのだろうか。だから、傷をつけなかったのだろうか。

すると、しゃがみこんで、

「怪我したのか。」

触ろうとしたので、思わず後ろに下がる。
痛みがはしった。

「……っ。」

これは激痛。耐えるのが大変だった。

「おい、わんこ」

「なに~。運ぶの~?」

ドスドスと鳴り響く。犬が喋っているのだろうか。
痛みがひどくてよく聞き取れない。

「ああ、そうだ。」

体が強張る。また……。

それに気づいた彼は

「興味ねーよ。なんにもしねーって。」

そう言うと、手を差し伸べた。


興味ない?なんにも?売ったり、手やムチでしばいたりしないってこと?

「ほ、ほんと?」

「あぁ。だから、ほら、行くぞ。」

じれったく思ったのか、私の体をひょいっと持ち上げられた。
人の温もりが懐かしくて、温かくて、私は寝てしまった。