「そ、そんなに頑張らなくていいよぅ、冬樹君一人なんだし、今日はまだ初日なんだからっ」

花がハンカチを取り出し、冬樹の顔を拭く。

「……………………………………花さん…御構い無く…ハンカチが汚れてしまいます…」

「すっごい顔汚れてるよ?頑張ったんだねぇ冬樹君」

元々冬樹は物静かなので、龍乃や刹那に対してのように、『声が大きくてちょっと怖い人』という印象を持っていない花。

比較的接しやすいようだ。

冬樹は花の手の中のハンカチを取り。

「……………………………………洗濯して…後日お返しさせて下さい…」

そんな律儀な事を言う。

「い、いいよぅ、そんな気を遣わなくても…」

「…いえ…綺麗で可愛らしいハンカチが台無しですので…」

無表情のまま、それでも丁寧にハンカチを折り畳む冬樹。