龍乃一味のカオスな学園生活

琥珀と武の稽古は熱が入っている。

現在の夕城道場で、顧問である瑠璃と鬼龍に次ぐ実力を持っているのは、この琥珀と武、そしてノエルの三人。

他の門下生達とは、雲泥の差がある。

それ故に二人が稽古を始めてしまうと、残る一人は他の門下生が弱すぎて稽古にならない。

「仕方ないから、僕は走り込みでもして来ようかなぁ…」

苦笑いしながら道場を出て行くノエル。

靴を履いて、軽い足取りで校庭に出て、リズム良く呼吸をしながら走っているのを。

「そんな稽古じゃつまらないんじゃない?」

誰かが声をかけた。

立ち止まって視線を走らせるノエル。

見れば。

「あ」

校舎の屋上の転落防止用手摺りに腰掛ける、一人の少女の姿。

彼女はヒョイと屋上から飛び降りるなり。

「うわっ!」

驚くノエルにも構わず、黒い翼を背中から広げ、鮮やかに滑空して着地した。

「私が相手してあげようかしら?走り込みよりは退屈しないと思うけど」