功クンがそっと目を閉じて、
ゆっくりと開いたとき、視線が重なる。
「人の心でさえ…、綺麗な方法ではなく、
強引さで奪う…。そんな最低な人間だよ」
今にも泣きそうだと思ったとき、功クンの顔が至近距離になる。
廣クン以外、近くで見たことがなくて。
あまりにも綺麗な瞳に、ただ呆然としてしまった。
「おい…、妃鞠。何でだよ……」
「えっ…?」
何故かあたしと功クンの間には、大きな距離があった。
そして温かいぬくもりを感じた。
「ひ、廣……」
彼の名前を呼ぼうとしたとき、抱きしめる力が強くなったのに気づいた。
「……渡さねぇよ」

