浮気彼氏から奪うオトコ。







功クンは一瞬だけ驚いた表情を浮かべ、

それからふっと微笑んでいた。



「それ、初めて会った時も言ってたね。

でも…俺はそんな綺麗な世界では生きていないんだ」



「……そうだったね」

「不良の世界に……来る?」




迷いがちに聞こえた声とともに、大きな花火が上がる。



「…どうしたらいいの?」

「それは俺が決めることじゃない。妃鞠ちゃんが決めていいんだよ。

後悔したっていい。
間違えたっていい。


幾つもチャンスなんて訪れるんだから」




明るく振舞う功クンに、胸がチクンと痛む。




「功ク…」


「ごめん、妃鞠ちゃん……。俺は本当に綺麗な人間なんかじゃない。

泥棒のようなものさ…」