屋台を色々見て回ると、
美味しそうなものばかりだった。
つい先日、廣クンと行った時はゆっくり見れなかった。
こうやって手を繋いで、ゆったりとする時間なんて。
1度もなかったなぁ…。
―妃鞠!美味そうな屋台あるぜ!
―これ、好きだろ?わたあめ。
俺が買ってやるよ。でも半分個な?
「妃鞠ちゃん?」
気づいたら、ずっと廣クンの言葉が頭の中で回っていた。
小さい頃から、毎年色々な花火大会に一緒に行った。
そこで走りながらも、一番花火が綺麗に見えるところへ連れて行ってくれた。
本当の本当は、走ってばかりでも、
あたしにとって廣クンといたから、楽しくてしょうがなかったのに。
恋の気持ちを忘れかけていた気がする―…。

