功クンの話しに戻って、あたしは俯いた。
「まだ…」
「まだなんて言ってないの!
相手は…いついなくなっちゃうか、分からないんだよ?」
訴えるように言った柚希の瞳が、揺れ動いていた。
「いなくなって気づいたら、遅いんだよ…?」
柚希は中学時代に、お父さんを亡くした。
それまでずっと反抗期で、中々素直になれず、すれ違っていた。
そんなある日事故に遭ったお父さんは、助からなかった。
だから必死になって言ってくれるんだ…。
「分かった。返事するよ」
「楽しみにしてる」
あたしなりの返事、頑張ってみるから。
だから―…、誰1人も失いたくはないんだよ…。

