「薄々分かった?不良さんなの」
「うわぉ、柚希って優等生に見えるのにぃ」
「それがね、この前街中で転んじゃって。
その時に大事なハンカチが飛んでいっちゃったの。
そしたら拾ってくれて…」
「何だかありがちな展開だね…」
少女漫画にでも当然ありそうな話。
でも嘘じゃないみたいで、柚希は頬が緩んでいた。
「初めは怖いって思ったの。
でもその人、お腹空かせてたみたいで、ご飯を少し買ってあげたの。
その時満面の笑みで「お前可愛いな」って…」
男前に見えた柚希が、こんなにも乙女だったなんて…。
親友がちゃんと好きな人を見つけてよかったと思った。
「うちは、返事をちゃんとする。
だから妃鞠も、功ってヤツにしてあげな?」

