「じゃあ着付けをしよっか」 「うんっ」 柚希には笑顔でいて欲しい。 だからもう、廣クンを忘れる。 これ以上、誰かに心配をかけないように。 あたしは―…。 「妃鞠?」 「え?」 「ぼぉーっとしてるけど、何考えてたの?」 あたしは小さく苦笑した。 相変わらず鋭い、幼馴染だからこそ。 もう迷惑はかけたくないから。 「何でもないよ、ただ。楽しみだなぁって」 「でしょ?夏祭りって、あんまないんだしさ! 楽しんできなよっ」 あたしの家に着くと、柚希はずかずかと部屋に入った。