がやがやと賑わうショッピングモール。
あたしと柚希は、ぼんやりとそのジャスミンの髪飾りを眺めていた。
「何か…懐かしいや」
一瞬だけ、思い出が甦って、周りの音が消えた気がした。
ジャスミンは、昔おばあちゃんの家に咲いていた。
「あれ、それはジャスミンの花飾りじゃない」
そういって話しかけてきたのは、店の店員だった。
「あの。これってどうしてピンクの花なんですか?」
「妃鞠って花に詳しいの?」
隣で疑問そうにする柚希に、小さく頷いた。
「お母さんとおばあちゃんね、庭園が大好きだったの」
そう短く説明をすると、店員は微笑んでいた。
「その髪飾りはね、おまじないがあるのよ」

