「ありがとうございました…」


お辞儀をして、あたしも立ち去ろうとした。


だけど腕を掴まれる。

その男の人はとても、優しい瞳をしていた。



「…こんな危なそうな俺なんだけど。

キミほっとけないよ…。

何か辛いことあったの…?」



(もしかして、いじめに遭ってると思ってる…?)


「いえ、彼氏が告白してきた女子に断って来いって…」


するとカレの表情は一変した。


「…酷いね。その人は…。愛する人にする態度じゃない」


「でもっ…あたしがいけないの…。
いつまでもカレから離れないで、ずるずるとしてるから…」



「だからこういう風に、苛められても仕方ないって?」


「っ…そうです…」


ため息をつかれてしまった。あたしってば、本当に暗いから…。



「そういうのね、キミの優しさなのか、

それとも恋心なのか分からないけど。

相手をちゃんと好きじゃないなら、離れた方がいいよ?」



「…分かんないんです」