浮気彼氏から奪うオトコ。






「嘘つけよ、俺の浮気に嫉妬したんだろ?

だったら……もっと俺を好きになれよ」




「……え?」



「キスしてほしいなら、そう言えよ。

欲求不満だろうけどよー…。

俺にだって都合があんだよ」



ナニ、イッテルノ…?



「誰かと付き合う?

妃鞠がするはずねぇだろ?

俺の傍にいるって言ったじゃねぇか…」



アタシガ…?
そんな風に思っていたの…?



―廣クンがあたしを理解してくれないことなんて。

ずっと昔から知っていた。



でもずっとどこかで期待してしまっていた。



「馬鹿……、あたしが廣クンの傍にいる?

笑わせないでよ!もう顔なんて見たくないしっ」




そう吐き捨てると、廣クンの腕を振り払った。


「だいっきらい!」


逃げるように、あたしはその場から立ち去った。