「妃鞠、待たせたな」
「あ、廣クン」
「アイツって妃鞠とよくいるやつだよな」
「うん。柚希ね」
「ふぅん」
どうでもよさそうに言って、近くにあったベンチに座った。
あたしも隣に座ると、さっき買った屋台を食べようと提案した。
でも何でか不機嫌のままだった。
「どうしたの?」
「さっきさぁ、知り合いと上手くいかなくて。
ったく…ドタキャンとかマジでねぇだろ」
「…ドタキャン?」
「妃鞠には関係ねぇことだろ?」
―関係ない。
その言葉は酷く傷ついた。
これ以上信じるってことも、
待つってことも…。
もう無理な気がしてきた。
「あたし今日は帰るね…」
「あ、おい!待てよ、妃鞠っ」

