浮気彼氏から奪うオトコ。






「ほら、帰ってきたよ。

アイツ…のこと、どうするかは妃鞠次第。

うちはこれ以上、傷つく姿なんて見たくないけどさ。


でも…妃鞠がしたいようにすればいいんだよ?」


「柚希…今日はどうしてここにいるの?」



柚希の後ろから、廣クンの姿が見えた。



「功ってヤツに、ここに呼び出されてさ。

どうやって家を調べたのか、怖くて聞けないけど。

『妃鞠ちゃんを悪い夢から覚まして欲しい』って」



功クンが…。

あたしのためにそこまでしているなんて、

涙がまた滲んでくる。



「まぁアイツはいい人なのかもね。

妃鞠、じゃあまた明日。学校でね」

「ありがと…わざわざ来てくれて」


「なぁに寝ぼけたこと言ってるの!

うちら親友でしょっ」





にかっと歯を見せて笑ってくれた柚希。

本当に感謝したいと思った。





柚希の背中が遠くなっても、ずっと見届けていると―…。