浮気彼氏から奪うオトコ。







「利用なんてしたら…酷い女じゃん。

あたし…」


「酷いのはどっち?」


「え―…?」

「いつまでも浮気をして、だらだらしてさ。

言い訳ばっかして、時々甘い台詞でも言っておいて。

傍においてるなんて、

他にもいるんだよ?妃鞠以外にも」



「…嘘だぁ。

あたし以外には…」




「妃鞠、嘘つく男は俳優と同じくらい凄いんだよ?」



柚希が泣きそうな表情で訴えるのを、

あたしは遠くで見ているような気分だった。



まるで自分に向かって言っていないようで。

ショックが大きすぎて―…。





「あたし…何夢を見ていたんだろ……」

「妃鞠?」


「あたしの方が利用されていただけなのかなぁ…」




心の中で耐え続けたものが、あっけなく壊れた気がした。