廣クンに連れられて、お祭りに着いた。

沢山の屋台が立ち並んでいて、どれを食べようか悩んでしまうほどだった。




「…あーぁ。もっと早く言えばよかったよな」

「え?」

「妃鞠の浴衣姿見たかったぜ」




きゅっと胸が高鳴る音がした。

照れ隠しに俯くしかなかった。






「何食いたい?」

「あ、んー…悩んじゃうなぁ」

「色々あるんだな」




学校以外で初めて手を繋いだ。

普通のカップルはいつも繋ぐのかな。

何てワガママを思っていた。

でも…どんなにワガママだとしても、こんなにも幸せなんだと気づいた。




「妃鞠?」


君が本当にあたしを好きなのか。

どんどん分からなくなっていくよ―…。




「廣クン、何食べる?」



ワガママなんて言っちゃいけないんだ、だから誤魔化すしかなかった。