「あたし…結婚したんだぁ」
「そうだよ」
ぎゅっと蒼斗を抱きしめる。
「蒼斗…ありがとう」
「…俺、空にならなくてよかった」
「空?」
「ずっと空になれば、妃鞠を見守っていられると思った。
でも空になっていたら、こんな幸せ知らないもんね…」
「そうだよ。空になるときは、まだ先だよ」
丘の上につくと、皆はぼんやりと空を眺めていた。
蒼斗がバイクを止めると、後ろからジャスミンの花弁を空高く投げた。
ひらひらと花弁が散る中で、皆は何故か苦笑していた。
「ほんっとうに、2人はジャスミンが好きだねぇ」
「妃鞠にとって思い出だもんな」
柚希と廣クンに言われて、あたしは頷いた。