アパートに着くと、結構綺麗なところだった。

「わぁ…」

「このアパートね、妃鞠ちゃんが好きなジャスミンの花の絵が描いてあるんだ」


蒼斗クンが指差した先には、可愛らしい玄関があった。



「本当だぁ…ジャスミン」

「まぁ、大家さんに無理言って頼んだんだけど」

「えっ」

「気に入ってくれた?」

「勿論だよ、ありがとう」

「笑顔でお礼言われると、こんなにもくるもんなんだ…」

「ん?」

「ううん、なんでもないよ」



バイクを置いてきた蒼斗クンは、あたしに鍵を渡した。


「これって…」

「合鍵。妃鞠ちゃんもいるでしょ?」

「う、うん」


―合鍵を貰うだけで、すっごい幸せかも…。