背中を軽く押されて、あたしはちゃんと頷いた。 「分かったっ」 「行ってらっしゃい」 病院の中をゆっくりと歩く。 柚希の病室を見つけて入ると―…。 「妃鞠…」 「柚希っ!」 柚希は眠たそうに目を擦っていた。 「身体、大丈夫?」 「ん…まぁね」 「どうしたの?」 「うち…もう1人の身体じゃないみたい」 「え…それって」 柚希の手のひらを握ると、少しだけ冷たかった。 「うち産みたいなぁ…秀との子」 「柚希…」